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大学女性協会とは

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~季節の便り~

Seasonal news

「季節の便り」は、季節ごとに替わる、JAUWの理事・監事、各委員長・支部長などからの寄稿ページです。
皆様 どうぞお楽しみに!
執筆はウェブサイト管理委員会からご依頼いたします。
寄稿いただける方についての情報も委員会までご連絡ください。
ウェブサイト管理委員(長谷川、鈴木千、秋光、岩村、中道、穐田、梅田、浦田、鍋倉)

 「シュガーロードを辿って」

 今回は九州の玄関口とも言われる福岡からです。福岡県は大きく福岡、北九州、筑豊、筑後の4つの地区から成り立っています。私は福岡と筑後しか住んだことはなく北九州、筑豊は不案内です。

 さて、今シーズンは長すぎた夏とあっという間の短い秋をすぎて冬真っただ中、寒波襲来の状況で関東から来福した人々の口から「九州だから暖かいかと思ったら…」の声が聞こえます。意外と東京より気温が低い日も多いのです。また空港から地下鉄で博多駅まで5分、天神まで11分と交通の便が良い所でもあります。さらに「食事がおいしい都道府県ランキング」では1位北海道に次ぐ2位となっており“水炊き”“もつ鍋”はもはや全国区です。全国区といえば銘菓‘ひよ子’を東京みやげとお思いの方いらっしゃいませんか。実は筑豊・飯塚の「ひよ子本舗吉野堂」の1912年(大正時代)考案のお菓子ですが、1964年の東京オリンピックを機に東京進出をはかり定着したという歴史があり、吉野堂さんの戦略が功を奏したのでしょう。飯塚はその他にも“千鳥饅頭”の「千鳥屋本家」や“なんばん往来”の「さかえ屋」などお菓子の本舗がたくさんあります。それは飯塚が以前炭鉱で栄えた場所で炭鉱労働者が甘いものを欲した環境だった所以でしょう。そこでお国自慢や観光案内ではなく、私が“食”に関わるライセンスで生きていることもあって、長崎から佐賀・福岡・筑豊・小倉とつながる‘シュガーロード’を辿ってみたいと思います。因みにこのシュガーロード、平成2年6月に文化庁から「日本遺産」に認定されました。

 鎖国時代の交易は長崎出島で行われていましたが、その際船の重心を保つために底荷(バラスト)として砂糖が積み込まれて一部が陸路で運ばれた長崎街道をシュガーロードといい、終着点の飯塚で前述の炭鉱労働者のニーズに合わせて繁栄したと思われます。まず出発点の長崎で有名なのが“カステラ”でたくさんのお店があり夫々特徴があります。変わり種としては、季節限定のハート型のカステラに砂糖でコーティングして桃の彩色を施した“桃カステラ”もあります。嬉野市には“逸口香”が、佐賀では何といっても“小城羊羹”でしょう。佐賀には他に“丸ボーロ”“松露饅頭”“けえらん”もあります。大宰府の“梅ヶ枝餅”は毎月25日(天神様の日)限定でよもぎ入りというのもあります。

 福岡の食文化を語る上で、筑紫平野の米、玄界灘の海の幸と耳納連山の果物・合馬の筍などの山の幸が豊富であることは外せないでしょう。お菓子だけではなく、醬油も甘口で“筑前煮” や折尾名物東筑軒の“かしわ飯”を口にすると、その甘さに閉口される向きもおありかと思います。その甘い醤油ですが“馬刺し”にはぴったりだと、個人的には思います。また以前、関東の人に長崎の「四海楼」で“ちゃんぽん”をご馳走した時「なんて甘いスープだ」と文句を言われたことがありました。甘さが足りない料理を「長崎ん遠か」と言うらしいですが、健康意識の高い今では昔話でしかありません。九州においでの節にはシュガーロードに思いを馳せては如何でしょうか。

福岡支部長  石井妙子
2025年1月15日

 

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