季節の便り アーカイブス
第11回
旬の味覚 サラダ玉ねぎ
熊本県水俣市で生産されている「サラダ玉ねぎ」は、辛みが少なく、水にさらさなくても生のままでおいしい玉ねぎです。極早生の品種で2月中旬から店頭に現れ始めました。「はしり」の今の時期、葉っぱごとみそ汁にしていただくと、玉ねぎの甘さ、歯ざわり、みずみずしさが感じられ、本当においしいのです。高校家庭科の授業で「くまもとふるさと食の名人」の方に教わりました。
熊本支部は会員8名の小さな支部です。大学・高校の教員(元教員)がほとんどで、半数以上が家庭科の専門です。今日は家庭科のことを少し書いてみます。
私の高校時代、家庭科は女子のみの履修でした。女子差別撤廃条約の批准に関係して、私が教師になって数年後の1994年に高校家庭科は男女必履修となり、男女で一緒に学ぶ教科になりました。
それから30年。男女必履修の家庭科を学んだ生徒が、高校生の親となりました。家庭における男女共同参画にはまだ遠いようですが、その子どもである男子高校生は、家事についてこんな風に話します。
「うちの父親、僕にはいろいろ言うくせに、自分はすぐ母親にさせるんです」と親の態度を批判的に見たり。
「こいつ本当に何にもできないんですよ、結婚したら大変なことになりますよ!」と男友達の家事能力の低さを指摘したり。
家事・育児は夫婦でするものという考えを普通に持てる生徒は増え、感覚としては多数派になっています。家庭科を男女で学んできた成果と言えるのではないでしょうか。
そんな若者が、性別にかかわらず仕事も家庭生活も充実した人生を送れる社会になるよう望みつつ、身の回りの生活を苦労なく整えられる家事の力を身につけられるようにしたいと、日々の授業に向き合っています。私の今の目標は産後パパ育休が「とるだけ育休」にならない未来のパパの育成です!
ところで、水俣で徹底的に環境に配慮したサラ玉栽培が始まったのも、およそ30年前のことです。水俣だからこそ安全にこだわって作り続けられてきました。地域の旬の食材をさっと調理しておいしくいただくのは豊かで幸せなこと。調理実習は男女ともに楽しみな時間のようです。
熊本支部長 岡本美和
2024年3月15日